「もう、目が覚めないかもしれない」
手術室に向かう廊下で、私は本気でそう思っていました。 実は私、部分麻酔ですら1週間起き上がれなくなるほどの強いアレルギーがあるんです。
初めての全身麻酔。 怖くて、怖くて、日本にいる母に電話して「遺産の分配」の話までしました。母に「あなたはいつもみんなのこと、私の事ばかり考えてるよね」って笑いながら言われたけど、私はそれほど必死でした。
手術室に入り、できるだけ深く、ゆっくりと呼吸をする。 「今から麻酔を入れますね」という先生の声。
「はい…」
そこから、私の意識は途絶えました。
36年ぶりに見た、あの日の夢
目が覚めた瞬間、真っ先に思い出したのは、5歳の時に見た「忘れられない夢」でした。
家族全員が知っている、私の有名なエピソード。 大きな大きなハンバーグを食べる寸前で、おばあちゃんに起こされてしまったあの夢。 当時5歳の私は、おばあちゃんになんで起こしたのかと、火がついたように大泣きして怒ったんです。
41歳になった今でも、はっきりと覚えている鮮明な記憶。 その夢を、手術中の眠りの中で、36年ぶりに見ました。
そして、目を覚ました瞬間。 ふと、確信したんです。
「あぁ、おばあちゃんが隣にいる」
不思議なほど心が温かくて、本当に、本当に幸せな目覚めでした。 あんな優しさに包まれた、おばあちゃんにしか出せない居心地の良さ。 言葉では言い表せないほど、気持ちの良い時間。
一番怖かった瞬間に、おばあちゃんが会いに来てくれた。 「大丈夫だよ」って、隣にいてくれた。
おばあちゃん。 そばにいてくれて、本当にありがとう。
おかげで私は、いつものように元気で笑っています。


あの時、おばあちゃんに「起こさないで!」って怒った5歳の私。 36年経って、今度は「起こしてくれて、守ってくれてありがとう」と伝えたいです。
人生、何があるかわからないけれど、私たちはいつだって、目に見えない大きな優しさに守られているのかもしれません。
起き上がりこぼし WaSaBi / わさび

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